時系列分析(ARMA・ARIMA・SARIMA)

前回に引き続き、時系列分析に関して解説をしていきたいと思います。

今回の内容は、時系列分析では有名な沖本本を参考にして、 記載をいたしました。

経済・ファイナンスデータの計量時系列分析 (統計ライブラリー)

経済・ファイナンスデータの計量時系列分析 (統計ライブラリー)

前回の記事はこちらになります。
時系列分析(ARモデル・MAモデル)

こちらで扱った内容は、ARモデルとMAモデルの説明。 時系列分析に出現する基本的概念の説明でした。

今回は、以前の記事の内容を踏まえて進めていきましょう。

ARMA(自己回帰移動平均)モデル

ARモデルとMAモデルを組み合わせたものを自己回帰移動平均モデルと呼びます。
AR・MAモデルを組み合わせることで、時系列データにおける自己相関を
柔軟に表現することが可能になります。

p次のARモデルとq次のMAモデルを組み合わせたARMAモデルは、
ARMA(p,q)と表記され、以下のように定式化できます。

y_t = c + \sum_{i=0}^p \phi_i y_{t-1} + \epsilon_t + \sum_{j=0}^q \theta_j \epsilon_{t-1}

ARIMA(自己回帰和分移動平均)モデル

非定常過程(トレンド性を持ったデータ)に対してARMAモデルを使うことができません。
しかし、和分過程は差分をとることで定常過程に変換することができます。
和分過程に対して当てはめるARMAモデルを、自己回帰和分移動平均モデルと呼びます。

言い換えると、トレンド性を持つ時系列データ(例:株価・GDP)に対して、
ARMAモデルを当てはめることはできません。

しかし、トレンドデータの差分を取ることで定常過程に変換し、
ARMAモデルへ当てはめることをARIMA(自己回帰和分移動平均)モデルと呼びます。

和分過程(単位根過程)

和分過程は、単位根過程とも呼ばれます。
単位今家庭とはなにか?見ていきましょう。
沖本本を見てみると単位根過程とは、「原形列が非定常過程であり、差分系列が定常過程であるとき、
過程は単位根過程と言われる」と解説されております。

もう少しわかりやすい例を示すと、株価やGDPのような経済データは、
前の時点の値に今の時点のランダムな値を足し合わせて構成されております。
そのようなデータは、単位根過程(和分過程)であると言えます。

SARIMAモデル

ARIMAモデルの拡張として、季節成分を取り入れたものをSARIMAモデルと呼びます。

月単位のデータを例に、解説をしていきましょう。

2000年1月から2003年12月までの、月単位平均気温データがあります。
通常のARIMAモデルでは、データを月ごとにとり、「先月が暖かければ今月も暖かい」と、
前後の月の関係からモデルを構築します。

一方で、SARIMAモデルでは、データを前年同月で取り、
「去年の1月が暖かかったので、今年の1月も暖かい」といったように、
過去の同月との相関関係をモデル化します。

ARIMAX(外生変数付きARIMA)モデル

SARIMAモデルでは、季節性を考慮したARIMAモデルを説明いたしました。
次は、外生変数を考慮したARIMAモデルを説明していきます。

例えば、ビールの売上という時系列データは、季節性や短期の自己相関などで表現することが可能です。
しかしながら、近くで大きなイベントがあった場合、売上が一時的に増えることもあります。
こういったイベントの効果や異常値ともみれる値を補正するために、回帰項が導入されます。

また、曜日や祝日といった要因もモデルに組み込むために、回帰項を用いられることがあります。
SARIMAモデルとの違いとしては、ダミー変数を用いることで様々なパターンを作り出すことが可能になる点です。
例えば、曜日ではなく、休日か平日かで分ける場合は外生変数としたほうが簡単になります。

まとめ

これまでのまとめをしていきましょう。

  • 短期の自己相関:ARMA成分
  • 周期的変動:SARIMAによる季節成分。もしくは、ARIMAXによる外生変数の利用
  • トレンド:差分をとることで消す
  • 外因性:ARIMAXモデルにより対応

参考文献

現場ですぐ使える時系列データ分析 ~データサイエンティストのための基礎知識~

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時系列分析と状態空間モデルの基礎: RとStanで学ぶ理論と実装

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経済・ファイナンスデータの計量時系列分析 (統計ライブラリー)

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