分析に必要なスキルについて考える

分析者にとって必要なスキルって?

まず分析力を考えるにあたって、以下の2つの側面があると思う。

  • イッシュー度
  • 解の質

イシュー度

これは、分析を行うにあたって本当に解くべき課題は何かを見抜く力を指す。

例えば、あなたが経営している飲食店の売上が減少傾向にある局面で、
データ分析を通して、売上減少の原因を明らかにしたい。

そこで、直近の来店人数の推移を見てみると徐々に減ってきていることがわかった。
そもそも来店してもらわないと飲食店として売上は上がらないから、
クーポンを配布して来店者数を増やそうとした。

さて、ここで一度振り返って本当に意味のある分析だったのか考えていただきたい。
データ分析を通して来店人数が減っていることに気づいたのは良いことである。
しかし、安直に来店人数の減少を課題としたのは誤りである。

来店者を分類すると新規客とリピート客に分かれる。
この2つの来店者推移を見てみると、リピート客が減っていることがわかった。
つまり、来店者数を増やす言っても、単純にお客さんの数を増やすのではなく、
一度お店に来たことがあるリピート客を増やさなければ根本的な解決にならないのである。

解の質

これは、解くべき課題に対して明確な解が出せるかを指す。

先程述べた飲食店の売上の例では、データ処理をすることで、
どこに課題があるのか明らかにした。
それらを実施するにあたり、エクセルやSQLPythonといったプログラミングを用いて、 データを処理することがある。

また、機械学習や統計モデルを用いることで、
利用者のクラスタリングをしたり、離反率などを予測することが可能になる。

このように、解の質とは解くべき課題に対して、
どこまで明確に答えが出せるのかを意味しているのである。

まずは、イシュー度を上げる

分析手法やマーケティング手法をたくさん知っている人が、
分析能力の高い人だと思われがちである。

だから、機械学習の手法を勉強したり、
マーケッターの人はSWOT分析・4Pなどを勉強される。

それ自体を否定するつもりはないが、分析スキルを高めようと思ったときに意識すべきことは、
取り組む分析のイシュー度を高めることである。

高度な手法を使いこなすことができるが、
イシュー度が高くないために、ビジネス上あまり影響が無いことを
分析してしまうことがある。

一方で分析手法を知らない場合でも、イシュー度の高い分野に取り組んでいれば、
ビジネスに好影響を与える示唆が得られるかもしれない。

伝えたいことをグラフに表すと以下のようになる。

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まずは、右下のオレンジん色の部分を目指すことから始めたいと思う。
そこから徐々に上に移動していき、理想的な状態へと移れると良いのである。

ちなみに、イシューに関しては、こちらの本を参考にしました。
コンサルタント必読書と言われていますが、ビジネスマンなら読んで損は無いかと思います。
特に分析をお仕事でされている人は読んでほしい本です。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

解の質が高いのに、イシュー度が低いのは非常にもったいないですね。
せっかく解くためのスキルは高いのに、イシュー度が低いがゆえに、
本質的なアプローチができていない状態です。

イシュー度を高めるには?

さて、先程はイシューが大切と記載しましたが、
イシュー度を高めるには、どうすればよいのか?
私が考える要素をご説明いたします。

必要なポイント

ドメイン知識

分析する業界に対して、どれくらいのドメイン知識があるかが重要です。
運送業の分析をするにあたって、ビジネスモデルや業界の抱える課題など、
全くわからない状態では、何に手をつければよいかわかりません。

一方で、業界の勢力図や法律などを知っていると、
データを見る前から、おおよその当たりをつけて分析することが可能になります。

また、ドメイン知識があればデータ分析の結果の解釈も深くなります。

目標との差分

これは、会社・部署が目指している姿と現状との差分を指しています。
組織としてありたい姿と現状が埋めるべき課題。

分析をして何かをするということは、埋めるべき課題を一つ一つ解決して、
あるべき姿になるためです。

売上を目標としているのに、コスト削減の分析をしては意味がありません。
その目標があるなら、どうやったら売上が上がるのか?売上構成比は?といったポイントを分析する必要があります。

このようにイシュー度を高めるためには、
業界に対しての深い理解と目標・現状の差分を把握することが重要です。